汝、風を斬れ
「何!?」
声のした方を向く。ジンとセントが何か話している。
「戻るってどういうことだよ」
「そのままだ。俺は城に戻る。この先は二人で行くんだ」
俺は城に戻る?
「セント!」
キュアは二人の方へ走る。
「どういうこと? どうして? ……っ」
気付いて手を離す。つい必死になってしまい、セントの腕を掴んでいた。
「キュア……反乱軍には、こっちが三人で逃げてることも知られている」
彼女の姿絵に書いてあるのは金のことだけではない。二つの言葉。
「ディードレール」
セントが言うと、ジンの体がびくんと反応した。
「どうして、私のを……」
国に仕える身分の者、例えば兵士や役人、官僚などの全てに与えられる、個々の呪文。国に仕えるために、歯向かわぬよう体にしみこませた呪文だ。国家機密のそれが、紙の端に載っていた。