汝、風を斬れ
「……そうか……うん…ああ、大丈夫だ…………」
ジンとキュアは、国境まであと三つの町、という所まで来ていた。上手くいけば明日の夕闇に紛れて隣国に入れる。
「セントは、何て?」
伝声機を外すジンに、キュアは尋ねる。
「もう、ジアロまで戻ったそうです。私達が国境を越えるのとセントが城に入るの、どちらが早いか、と言ったところですね」
「ジアロ……サラさん達は大丈夫かしら」
「セントの話だと、上手く逃げられたようです」
「無事だといいわね……サラさん、ニコイさんに……セント……」
その名を口にし、キュアの顔がとても穏やかになる。
セント。
身分も何もない。私は、あなたが好きです。