汝、風を斬れ
第八章 行く先
事実、疑いの目は消えたに等しい。
キュアにかけられる目である。やはり、二人になったからであろう。
さて、これからどうする。ジンは考えた。
今日は生憎の雨である。今日中に国境を越えることは難しい。となると、だ。どこかでもう一泊しなければならない。この先にあるのは、宿場町とは名ばかりの色町である。姫をそんな所へお連れする訳には……などと言っていられない、か。進むしかない。
ジンは胸元に隠れているペンダントをきゅっと握った。
雨か。
これで警備も手薄になってりゃいいんだが。
大きな木の陰で雨宿りをしながらセントは思った。ここで愚図愚図していても何も進まないので、城へ向かう。雨でも大通りには相当の人数が警備に配されている。森の中の泥濘を行くしかなさそうだ。でも、ただ進むだけじゃつまらないから、たまに大通りに出て二三人相手してやってもいいかな。なんて。
いやいや。