汝、風を斬れ
 
「繋がらないの?」

 夕食を終え、体も奇麗になっている。
 ジンの伝声機とセントの伝声機が繋がらない。

「どうした……セント」
 明日には確実に隣国へ行ける。それをきちんと伝えたかったのだが。伝声機の不調だろうか。いや、そんな話は聞いたことがない。伝声機が繋がらないということは、相手がこちらを拒否しているか応対できるような精神状態にないということだ。
「キュア、心配ですがもう休みましょう。この状態では私達がセントにできることは何もない……」
 そう言うジンの方こそ不安な顔をしているようにも見えるのだが。

「ねえ、ジン」
「はい」
 ジンは自分のことをどう思っているのだろう。
 ここは色町、ただの宿場町ではない。その空気がキュアにこんな疑問を抱かせる。
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