汝、風を斬れ
 いつも傍にいた。笑っているときも、泣いているときも。後者に至っては、ジンの胸を借りたことは数知れなくて。
「あなたはどう思っているの?」
「何を、ですか?」

「……」
「姫?」

「キュア」

「はい。それで?」
「……セントのこと」    
「そうですね」

 ジンはベッドの上にナイフを広げ、一つ一つを丁寧に拭いていく。普段のことなのでキュアも別段驚きはしない。自分のベッドに横になりそれを見ている。

「もっと早くに知り合いたかった、と思います」
 とても肯定的。
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