汝、風を斬れ
「淡い青の髪……王族……姫様!?」
 ジンはハスを後ろから捉え、首の後ろを強く叩く。
「さ……びゃくま……」
「姫、逃げます」
 キュアは頷き、まとめてあった荷物を持つ。
 フードのついた上着を着ながら走る。そこを、ローナが見た。
「まさか、姫様? ……三百万! ハス! ハス!」

 眠っていなかった町が活動を起こすのにそう時間は掛からない。直ぐに騒がしくなる。
「ジン、待っ……ハァ……」
「ああ、すみません」
 ひょい、とキュアを抱き上げる。
「走ります」
「はい」
 この人のどこにこんな力があるのかしら、とどさくさに紛れて思うキュア。しっかりと首に腕を回す。
「「姫だ! 捕らえろー!!」」
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