汝、風を斬れ
裏王家。
表となるのは、もちろんキュアの属する一族のこと。政治を行なうことによってセリス国を成り立たせている。対となる裏王家は、武力によって国を守っている、いや、守っていた一族である。
セリスが国土の拡張戦争を行っていた何百年も前の昔、この国は王家よりも裏王家のほうが力を持っていた。両家は、表向きは連携していたが、一方で勢力抗争を続けていた。真の治世者となるために。
やがて国土拡張戦争は終わる。結果として西大陸の七分の一もの面積を持つ大国となった。この巨大な国をどう治めるかで、両家は大いにもめた。
軍部の絶大な支持を持っていた裏王家は、無論、軍事力に依って治めようとした。国境沿いに軍事拠点を造り、国防とその地方の政治をさせる。また、それが反乱分子とならぬよう、各基地から特に秀でている者を選り抜き中央軍として地方を監視する。裏王家はこのような政策をたてた。