汝、風を斬れ
確かにこの政策は良かったかもしれない、しかし王家はそれに意義を唱えた。軍人は政治をすべきではない、この国を争いの絶えぬ国にしたいのか、と。
では、そちらはどうするのだ。この広大な国土をどう治める。裏王家は今にも戦いを起こさんという姿勢で聞いた。
王家は答えた。
誰も戦争は望まない。国はこの戦争で富を得たかも知れないが、民は疲れているのがわからないのか。国境に軍隊を置くのは賛成しよう、だがな、地方の政治には中央の試験を通った役人を送る。分け隔てなく民のことを考えられる者を、底から国力を上げられるような力量を持った人材を私達が選び、感化し、地方へ送るのだ。軍人の中にはろくに字も読めぬ者も多いだろう、その様な者達がどこまで民のことを考えられる。充分に知識を持った者を送れば民の教化にも繋がる。そうすれば民は気付くのだ、軍事力など最低限あればいい物なのだ、と。
我々が不必要だと言うのか。
いや、そこまでは言っていない。しかし多くは要らぬ。上に立つ者に従順であり、多くを求めぬ存在であればいい。