小さな恋の話
「ねえ、まださ、湯浅のこと好きなの?」
唐突に花田が口を開いた
え?
んーとね
なんかあんまり話しかけられないし
今よくわかんない
ってあたしが言うと
あんた
すっごい真っ赤な顔して
振り返ったよね
「じゃ、じゃあさ、俺と付き合わない?
‥‥‥‥ん?
あれ?
あたしとあんたは友達で
あんたはあの子に恋してて
あんたとあたしは
身長差10㌢あって
「あ、あたしのが身長高いよ?!」
なに言ってんだあたしっ
問題そこじゃないでしょ
もっと色々あるでしょ
でも
あたしはあんたを失いたくないわけで
あたしはあんたに
この何ヵ月支えられたわけで
断ったら2度と戻れないわけで
「いいよ。ずっと考えてた。俺は君が好きなんだ。俺1人は弱いし、君1人も弱い。でも近くにいれば‥‥一緒にいれば、きっと今より強くなれるよ。俺は君を支えたい。」
真剣な瞳で見つめられて
漫画にしかないような
熱い言葉をかけられて
あたし
おかしくなっちゃったのかも
「うん‥‥いいよ」
花田は満面の笑みで言った
「ねえ‥‥‥陸って呼んで。ちゃんと俺の名前、呼んで?」
お腹に力いれて
声を張らなきゃ
空気みたいに消えちゃいそうだった
「陸‥‥?」
正直あたしは
あんたを
愛してなどいないわけで
好きなんて
微塵も思ってなかったわけで
でも今この瞬間
あたしたちの中で
なにかが始まったんだ