小さな恋の話
あたしは本当に腰抜けで
せっかく
湯浅君にメアドを聞いても
せいぜい何通かメールする程度でさ
教室で話しかけるなんて
そんな大層なこと
あたしのノミの心臓じゃ無理だった
その点あんたは
すごいよね
花田が恋をしたのは
違うクラスのハンドボール部の女の子だった
髪は長くて
彫りが深くてハーフみたいな
美人さんだった
ああ
あんた面食いなのね
って思ったよ
花田はハンドボール部で
その子も同じ部活だから
チャンスあんじゃん
ってあたしが言ったら
あんたすごい嬉しそうに
「マジか、俺頑張るよ」
あたしはその笑顔をみて
応援してやってもいいかな
って思ったよ
その日から
花田はあたしの席の
隣に座って
昨日は
何を話したとか
あの子の
ああいう仕草が可愛いとか
楽しそうに話していた
「ねえ、俺どうすればいい??ねえ俺、少しは脈あるかな?」
ねえ
ねえってガキかあんたは
あたしは女子といる時間より
あんたといる時間のが長かった気がする
お昼休みも結構限界だった
あたしはバスケ部の友達と
弁当を食べた
でも体育はつらかった
ほら
体育って男女わかれんじゃん
井上たちと一緒にいなきゃいけない
50分間はなかなかつらかった
そしてバカなあたしは事件をおこした