俺様のお姫様
神宮寺先輩は私を見ると申し訳ないような顔をした。


「なんか知ってる声がするなって思って下見たら結城さんがいたから。」


そう言って手を差し伸べてきた。


「立てる?」


先輩にそう聞かれ立ち上がろうとしたがちょっと動いただけなのに激痛が走った。


感覚が戻ってきたらしい。


痛みに顔を歪め先輩に首を振った。


ここまで酷いとは予想外。


私はため息をつき奈々姫を見る。


「すいません先輩、なんかご迷惑懸けっぱなしで。」


奈々姫はそんな私を見ると困った顔をして先輩に謝る。


それを見ると私は再び本に視線を戻した。


見れば見るほど悲しくなる。


発売日に買わないと初版は手に入らないくらい人気の漫画。


私が愛してやまない本。


「いや、それは別に。それより俺のせい…なんだよな。」


頭の上から先輩と奈々姫の話が聞こえる。


声で分かる。


先輩が私に申し訳なく思っているということが。


でも、奈々姫は違う。


奈々姫は溜息を軽く漏らすとこういった。


「いえ大丈夫です。こいつタフなんで。」


と。


あっさりと言った。


言ってのけた。
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