俺様のお姫様
「なにせ自分の身体より本の方が大事みたいなんで。」


続けてそう言われる。


そのあとに先輩の苦笑が聞こえた。


確かに、今この状況下において、私は自分の体の痛みより本に気がいっている。


本と自分、どちらが大事と聞かれれば、本と答えるに違いない。


が、奈々姫さん、それにしてもあっさりと言いすぎではありませんか?


神宮寺先輩の笑いが止まる。


「そっか、ならいいんだけど…。」


この台詞のあと、少し間ができる。


それからやりとりが再開されたのは奈々姫のこの一言だった。


「あ、…あぁ!!そうか。」


奈々姫は手をポンと叩く。


何がそうかなんだろう。


「神宮寺先輩にお願いがあります。」


は?


「はい?」


先輩は訳が分らないといった感じ。


もちろん私も。


そんな私たち二人を残して奈々姫は続けてこう言った。




















「ここまできたらきっぱりしましょう。彼女、先輩に任せます。」
< 38 / 48 >

この作品をシェア

pagetop