君を抱きしめるから~光、たずさえて~
食事はいつもより豪勢な程度だが、ボクには贅沢すぎた。
なめこ汁と季節の炊き込みごはんがあれば幸せなんだ。
ハンバーグなんていらない。
ミートボールだって弁当に入っていたらラッキー、ぐらいの思い入れしかない。
こんな人数分の鮎なんてどこで釣ってきた。
いや、仕入れてきたんだ……
どうせおじさんあたりがろくでもない『力』行使したんだろうけど。
ほんっとうに中途半端。
まあ、精一杯都合してくれたんだろうな。
鮎の鯖(?)読んで。
彼はきっとどこでも生きてゆけるんだろう。
こんな風に体面を気にして。
ひっそり田舎に住んで、家庭菜園でもしてれば、そんなこと、しなくてすんだはずなのに。
「ジュースで良い? お客なのに失礼だけど」
「俺は酒は好きじゃない。気にすんな。久々にまともなものが食べられて、俺は運が良い」