君を抱きしめるから~光、たずさえて~
はずむ息をある程度整えてから呼び鈴を鳴らすと、インターフォンから笑い声が聞こえてきた。
なっちゃんの声。いったいなんなんだ。
「ジェフ、ステゴザウルス返してよ。あ! かっちゃん、これ見てよー」
リビングの入り口から失礼して覗くと、室内型大型犬、実はなんて言うのかわからない毛の長いやつが、なっちゃんのお気に入りのステファニーをべとべとにしながら腹の下にしいて離さない。
それどころかボクと目が合うとしらーっとしてよそを向く。
ステファニーは造りが良いんでおもちゃ屋さんで大人気だったステゴザウルスの人形だ。
ボクがプレゼントした。ジェフはもしかして焼いてるのか?