君を抱きしめるから~光、たずさえて~
あれから、ボクも『力』には目覚めたのだけれど、そんなものを行使する機会もほとんど無く、独りで試してみる他は『力』をやたらめったらすることもなく……
なっちゃんとボクはあのときの秘密を誰にも漏らさなかった。
それは軽く胸を打つような、ちょっとしたマジックみたいなものだ。
秘密の共有。
ボクはそれに優越感すら覚えていた。
血統のみに行使できる『力』。
いとこという立場。
怪しげな世界に冒険した夢のようなできごと。
それは、魂の蜜月に近かったのではないかと、今になっても思う。