君を抱きしめるから~光、たずさえて~
「未知の世界か……おまえ、わかってるじゃないか」
「わからないよ。未知の世界なんて、未知なんだから」
「だから複雑なんだ。わかるか、この気持ち」
「だけど君はうまく立ち回って、損だけはしないタイプだな」
「えらく楽観的に言ってくれるな。まあ、そうなんだろうけど」
確かにボクと彼との間には、理解しがたい壁がある。
だけどそれはボクが特殊な能力を受け継ぐ血族であることと、一切、関係がない。
むしろ、俺ちゃんの君のが普通の感覚に見えるよ……
「しかし俺もなっちゃん先輩と結婚すれば、跡継ぎ様だ」
「それだけは赦さない……!」