君を抱きしめるから~光、たずさえて~
そりゃあ、なっちゃんにだって選ぶ権利がある。
戦後に女性が得た新しい権利の一つだ。
さあ、なっちゃんが選ぶのはどっちか?
いや、どちらか一方しかないって事もない。
けれど、今は。
「甘いな。長男野郎が。少しはうたがえっつーの」
それより、机の縁に手を置いて彼はボクを見下ろしてくる。
別段、なんてことない風景だが、のりおにとってはそうではなかったようだ。
「ねえねえ、なんか聞いてよ」
と、話しかけてくる。
「俺ちゃん昔、ゴジラの夢見てさー」
いやな予感がした。