君を抱きしめるから~光、たずさえて~
「のりお! 大きくなったら、ボクと遊ぼう。その前に口げんかしたり文句言い合いながら、友達になろう! 絶対だ。ああ、絶対!」
「大きく……なったら? おまえだれだよ?」
「わからない? 君は大きくなったらきっと思い出す。ボクがここにいたってことを。そして話すんだ。ゴジラになったくだりをね」
小三ののりおははかなかった。
このモノクロに近い色あせた風景の中で、もっともくすんだ色合いをしている。
「明日はぼくの誕生日なのに、お父さんもお母さんもけんかばかりしている。兄ちゃんはドウラクモノで家出してる。ぼくのことは?」
「大丈夫。背丈なんて一晩で伸びるし、お父さんもお母さんも反省してティーレックスをくれる。君の兄さんもだ。みんな戻ってくる」