君を抱きしめるから~光、たずさえて~
哀しみの虚と実と
ほとんど興味を持ってもらえなかったけれど、まあいいか。
だけどこれだけは付け加えておこう。
「みんなの中心にはいつも君がいて……」
言っててため息が出た。
これ以上の言葉はもう、彼にとって意味をなさないだろうと直感したからだ。
なぜ、ボクは泣いているんだ。
のりおは、小さく手を振って、バイバイ、と言った。
胸にはティーレックスを抱えて。
……そこだけはゆずれないんだなあ、のりお。
なんとなくボクはほほえましく考えた。