君を抱きしめるから~光、たずさえて~
なっちゃんが「いけません」と、やさしくにらむ。しかたがない……集団下校は義務だからな。
そして、義務教育の間しか一緒にいられないであろう、のりおに、不親切に扱ったらきっと後悔する。
いつか、限りない青春の夢の中で、また巡り会うために、ともに、歩いて行こうとボクは決めた。
いつか、必ず……彼をあの悪夢の闇の中から救い出す。
ボクも、それまでに大きく、強くなるのだ。
彼と一緒に闘うために。
ああ、何度だってやってやるさ。
ボクのこの血族の『力』をもってしてでも。
たとえ、それが禍々しい悪魔の仕掛けた罠だとしても。
ボクは思った。
あのとき、手をつないでやればよかった。