君を抱きしめるから~光、たずさえて~


 

 やっぱり泣けた。


 春のうららかさに遊ぶ花びらたちが、のりおの目に映ってる。


 ちっとも寂しくなんかない、と言うように……


 寂しい。


 ボクはそう思う。


 女みたいだというなかれ。


 心の傷には処方薬がない。


 それこそ異常なほどくるおしく、激しい大げさな現象ではないんだけれど。


 ときどきどうにかなってしまうのじゃないかと思うほど鬱になったり、爆発したりする。


 ひとから見えない分だけ、口に出さない分だけ、やっぱり、のりおも寂しいんだと思う。



「さあ、明日から春休みの続きだ……!」



「キミタチ、春休みの宿題は肝心よ。春一番の全国テストであったりまえのように公式とか出てくんだから、習ってなくてもよ?」



「あ」



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