甘い瞳に囚われて。




あわあわ…と動揺する私は、原因である当事者ゼジルの方へ視線を上げた。



さらにそこには、私の心に衝撃を与えてくれるものが。



ズッキュ―ン!と。




だって…目を細めてふわり、と微笑むゼジルが目の前にいるのだから。



まさに王子様の笑顔。



『あ、あのさ…』



降ろして?と言おうとしたのに出来なかった。



目の前の人物は、微笑みを私に見せたと同時にギュッ…!とその状態のまま抱き締めてきた。



その行動に私の体は火照り、紅くなる。


ドッキンッ、ドッキンッ…とうるさい心臓の音はゼジルに伝わっていないだろうか?



耳元にはゼジルの吐息の微かな音が聞こえると同時に…






「嬉しい」





柔らかな甘く低い声が私の耳に響いた。







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