甘い瞳に囚われて。
「感じた?」
わざとらしく聞いてくるゼジルは、満足そうな表情を浮かべると私をベッドに横倒し…自らも横たわった。
「夕飯の時間まで休もうか」
ゼジルの言葉は耳に入っているのに私は放心状態だった。
『ゼジル!!!』
夕飯の時間が近づき、食堂へと向かっている途中…通りかかった回廊に設置されている鏡に私はへばりついた。
「シィ、どうした?」
私は、鏡に映る自分の姿の一ヵ所に集中した。
『コ・レ!!これ何?』
私が指差したのは、ゼジルに吸い付かれた首筋。
赤く跡が残っていたことに気がついた。
そんな私にゼジルは、ヘラッと微笑むと…
「キスマーク」
『…え?』
まさかのまさか。
キスマークがつけられていた。
初めて見るソレに真っ赤になる椎華は口をパクパクと動かしていた。
「俺のキスマークだ、光栄に思えよ?」
と、言い捨てスタスタと歩きだしたゼジル。
『~~っ!!』
ムカつく。
ヤツは、甘いマスクを被った正真正銘な俺様王子。
全て演技ではなく素なのが、強者だ。