甘い瞳に囚われて。
―――…
『イテェ…』
先程、ロサの魔法によって放たれた光で意識を飛ばしたゼジルは、目を覚ましゆっくりと起き上がった。
なんか…景色がおかしい…
「――ッ…!!」
右腕に痛みを感じ、視線を送ると…
流血していた。
ロサの野郎…
苛立ちを芽生えるが、それよりおかしなことに気づいた。
右腕が毛むくじゃらになっていて…人間の腕ではなかった。
『どういうことだ?』
思えば、広がる景色も木や花が巨大に見える。
近くに水溜まりがあるのを見つけ、恐る恐る覗くと…
水面に映っていたのは、真っ黒な毛並みでスカイブルーの瞳を持ったネズミの姿だった。
『アイツ…本当にネズミにしやがった』
ありえない状況につい溜め息をつく。
『この姿でどうしろっていうんだよ…』
痛みを増す右腕に顔を歪ますと、近づいてくる足音が聞こえた。