甘い瞳に囚われて。
やはりな…
「私は、椎華っていうの。よろしくね?」
ニコリと歯を見せて笑うその笑顔は、偽物ではない。
俺が見てきた女たちとは違って、コイツはありのままで笑っているように見えた。
シイカ――
珍しい女だ。
シイカは、手に消毒液と包帯、ガーゼを持っていた。
『お待たせっ!さっ、手当てしようね。痛かったでしょう?頑張ったね』
そう言いながら、人差し指で俺の小さな頭を優しく撫でた。
なぜか、その撫でてくれる感触はとても居心地が良かった。