甘い瞳に囚われて。
「シィ!!さっさと買い出しに行きなさい!!役立たずがっ」
まただ…さっきも買い出しを頼まれたのに1日に何度も怒鳴られ行かされる。
唯一、一緒にいて癒されるゼジルとの時間をあの人達は私から奪う。
ただの人間で抵抗することも出来ない私は、あの人達には敵わない…
「シィ…今は耐えろ」
『え?』
その言葉にゼジルに向けて首を傾げるが、表情を読み取れず何を考えているのか分からないその瞳になぜか惹き付けられる。
この時の私は気づかなかった。
すでにこの時…、
真っ直ぐと見つめてくる優しいスカイブルーの瞳に私の瞳は囚われていたのだ。
『うん…行ってくるね』
耐える。
魔界で生きていくためにも。
元の世界に帰れる希望を失わないように――…