甘い瞳に囚われて。
ドカドカと豪快にやって来る足音は、俺の前で止まった。
「ふんっ…小汚ないネズミなんか家に入れちゃって」
『…っ!!!』
俺がこの国の王子であるとは知らずにリビーは、俺の首の後ろの肉を掴み小さな身体を持ち上げた。
「こんな真っ黒で不気味なネズミなんて消えればいいのよ」
リビーは、ニヤリと口角を上げ窓を開けた。
「あなたが居なくなればシィはどんな顔をするかしら…?」
この冷酷な女は…クスリと笑い、そのまま俺を窓の外へ勢いよく投げ飛ばした。
シイカ――…
もう駄目だ…と思い意識が途切れる瞬間、脳裏に浮かんだのはお前だった。