甘い瞳に囚われて。
ツカツカ、と大股に長い足で歩き出すゼジルの後から慌てて呼び止めるルイス。
「ゼジル!探すってお前、居場所わかるのか?ネズミになった上にロサが飛ばしたんだから知らないはずだぞ?」
後ろから引き留めるように聞こえてくるルイスの言葉にピタッと足を止めた。
『そういえば…知らない』
「俺だって…魔法をかけた当の本人でさえわからないんだよ?人間の娘なのだろう?それにお前は、次期魔王だ…女は他にだっているだろう?」
先程までは、ゼジルに女が出来ることはルイスにとって嬉しかったが…"シイカ"という女は所詮、人間。魔界での教養以前にこの代々伝わる王族コリンズの家柄に相応しくない。それにコリンズ家にメリットがない…
『女…?俺は、ただアイツがあんな腐った家に置いておけないだけだ。それに人間故に危ないってことをお前は知ってるはずだ…』