甘い瞳に囚われて。
ロサの言う通りかもしれないな…
シイカを側に置けるなら…また、あの穏やかな空間に浸れるのならば…
恩返しという形で側に置いておこう。それに人間が無防備にあんなところに居るのは危ない…
『…すぐにでも準備をするぞ』
「了解」
急いで歩き出したゼジルの遠くなった後ろ姿を見つめ、ルイスはロサに視線を向けた。
「何で、わざわざ"一人残らず"なんだよ?」
国中の娘を集めるということは、かつてない大がかりなパーティーだ。
そんなルイスにロサは、
「そうしなければ、あのタナー家は使用人であるネェちゃんを連れてこないしな…それに…」
「それに…?」
言葉を遮るロサにルイスは、その後に繋ぐ言葉を待った。
「それだけ多くの娘の中からでもネェちゃんを選んだらアイツの想いは本物ってことだ…」
普段ヘラッとしていて自由奔放なロサが真面目な顔つきで話す様子にルイスは瞬時、呆気となった。