甘い瞳に囚われて。


「私の家は、受験を控えている息子がいるのよ」



(8年も浪人しているくせに…)



「家だって、そんな金の余裕ないぞ!」



(社長のくせに…)



あれやこれやと言い訳を言い合う大人たちに囲まれ、居心地が悪かった。



「この家売れば、金できるんじゃないかしら?そうすれば、家が引き取るわ。遺産だってこの子に相続されるらしいじゃない」



小太りの叔母さんが発したこの一言で、私を囲っていた大人たちはコロリと豹変した。



「なら!家が引き取ろう」



「な、何いってるのよ!家が引き取るわっ!こんな子でもいたらいたで便利だし」



ズキン…





お父さん達がこの一族を嫌っていた理由がわかるよ。



私は私の人生、おじいちゃんが言ったように後悔したくない。



だから、私は立ち上がった。




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