甘い瞳に囚われて。
前の方に集まっている女の子達の中にいるのは、きっと王子様なのだろう。
そこには、一人の王子様を巡って醜い争いが勃発している模様。
王子様も可哀想だなぁ…と思いつつ、私はここに来た目的を果たすために計画実行しようと心んでいた。
お嬢様方の目的とは違い、私の目的は"人間界に帰る術"を探すことだ。
世界を司るこの城ならば、何か手がかりがあるハズ!と踏んだ私はあの複雑な回廊へと再び足を運ぼうとした。が…しかし、
『う"ー…私を誘惑しないでー!』
世界の中心地であるお城の舞踏会だけあって、美味しそうな香りを放つキラキラとした料理たちが、私の踏み場を邪魔する。
人間界とは違う、見たことのない魔界のお料理たちが私を誘惑する。
ジュルリ。
フラフラー…と体が動き、いつの間にか私の手には素敵なお料理が乗ってあるお皿を持っていた。
『…まぁ、先に腹ごしらえを』
こうして、華やかなパーティーの中で女の子一人…私は料理に夢中になっていた。