甘い瞳に囚われて。
…えぇーと、何だっけ?
このゼジル・コリンズと名乗る青年は、次期魔王様になられる方で…つまり、先程お嬢様方の中心となっていた王子様。
そこは、静かに驚いた。うん。
「何、ブツブツ言ってんだ?顔を上げて」
顎に手を伸ばし、クイッと上げさせられた。
「必ずしも王子様は、優しいと思うなよ?シイカ」
先程のニコリ、ではなく…ニヤリと笑う王子様。
さっきの"きゅん"を返せや。
『あのー、王子様が私に何の用でしょう?』
棒読みにスカイブルーの瞳を見つめつつ、いや…睨んでゆっくりと聞いた。
「あぁ…これからシイカは、この城で暮らしてもらう」
『はぁ!?』
耳が可笑しくなったのだろうか…幻聴が…、
「幻聴じゃないから」
違ったようです。