甘い瞳に囚われて。
『な、なんで!!?』
私は、いつの間にかゼジルの胸ぐらを掴み、力強く揺さぶった。
「お前、人間だろう?今までは、運が良かったみたいだが、この世界には人間を喰らう一部の魔族がいるんだ」
『…へ?』
「この城で保護してやる。人間が魔界に来るのは珍しいことだが、生身の者を喰らうことは禁じられている。その為にも国が乱れないようお前を保護することに決めた」
シラッと話し続ける王子様に私は、揺さぶるのを止め…ヘナッとベッドに座りこんだ。
『つまり、私の為でもあるの?』
「あぁ…そうだ。それ以前にお前に拒否権は無い」
あー…そうですか。 私に拒否権が無いことぐらい、貴方の顔を見れば察します。
拒否をしようとも、その顔には「あぁん?拒否は許さねぇから」と言わんばかりに見られていたから。
まぁ、あの家にいるよりは良いと思うし…
帰れる術が見つかるかも。
前向きに考えよう!私!異世界に来てる時点で、悔やんでも状況は変わらないんだから!