甘い瞳に囚われて。




『待って』


「どうした?」


いきなり立ち止まった私に王子は、首を傾げていた。



繋がれていた手を離し、グルリと体の方向を変えてタナー家の人たちと向き合った。



『今までお世話になりました』



最後に笑顔でゆっくりとお辞儀をして、王子の方へと戻った。



パタン。



「…何であんな奴等に頭下げたんだ?酷い扱いを受けていたんだろう?」



部屋を出て、なぜか再び手を繋がれると同時に低い声で問いかけられた。


『確かにそうだけど…でも異世界から来た私に、住むところと仕事をくれたことに感謝してるんだ。最悪、今ごろ死んでたかもだし…』



私が、そう言うと…王子は優しく私の頭を撫でた。



「そうだな…俺も感謝してる。相変わらずお前らしい」



お前らしい…って、さっき会ったばっかじゃん。



でも王子は、私の手を引っ張りながら歩き出し豪華な部屋へと導いた。



「今日からお前の部屋だ」


サラッと、このイケメンは言うが…


『私には…勿体なくない?』


「あー…俺の部屋でもあるから一緒に俺と過ごす」



はい?




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