甘い瞳に囚われて。
『え"っ!?ちょっと待って!!ここドコよっ!?』
後ろを向くと、前方と同じ景色。
家はなく、大草原の中に椎華は立っていた。
『どっ、どういうこと!?お…落ち着け自分っ』
パァン!と自分の頬を叩くが状況は変わらない。
『ちょっと…ほんとどういう状況よ、コレ…』
家のトイレの扉が"ドコでもドア"なわけがないことぐらいわかる。
だけど、さっきまでいた窮屈な都会と違い、なぜ今この広大な大草原の中に自分がいるのかがわからない。
少しパニクっていると、ピカっ!と反射したように光が目にあたった。
『…あれ?赤い…』
左手の中指には、おじいちゃんの形見でもある指輪がはめられていた。
しかし、おかしいことに貰った時は綺麗なスカイブルーの色だったのに今は真っ赤になっていた。
『なんで…?』
深くなる不思議な状況に首を傾げていると、遠くからパカッパカッと、馬の走り音が聞こえてきた。
どんどん近づいてくるソレをただ、椎華は見つめることしか出来なかった。