甘い瞳に囚われて。
――…
『……』
「……」
『……』
「おはよう、シィ」
『……おはよ』
お城に住み初めて2日目の朝。
鳥の鳴き声が聞こえると同時に目が覚めると、すぐ視界いっぱいに映ったのは魔界王位継承者であるゼジル王子のお美しいお顔。
『っていうか!!ちかっ!!』
悪戯げにニコニコと微笑みながら、顔を覗いてくる王子に向かって、私の頭の下にあった枕を当てつけた。
「ひどいなぁ、せっかく天気がいいのに機嫌が悪いのか?」
『なーに言っとんじゃ!!人の寝顔みてるなんてさ!!』
床に膝をつき、ベッドに腕を乗せ、顔を傾け、頬杖をしているゼジル。
そして、まだベッドに横たわっている私の上で、この世のものとは思えない美貌の持ち主がニヤニヤと微笑み続ける。
こやつ…昨日、会ったばかりなのに馴れ馴れしい…
『もー!!離れろ!!』