甘い瞳に囚われて。
『ちくしょー…』
ゼジルに口付けられた場所を手で擦りながら長い回廊を歩く。
ムカつく。
あの意地悪な瞳、
何故か余裕そうな笑み、
『ムカつく』
「何が?」
ぶつぶつ…と私が呟いていると、後ろから聞き覚えがある声が耳に入った。
「ハロー♪ネェちゃん、ご機嫌ななめですかー?」
振り向くとそこには、ヘラッとした魔術士様がいた。
『なにしてんの?』
「いやいや、こっちの台詞だっつぅの」
『んー…散歩?っていうかココどこ?』
「は?」と言う表情で「頭大丈夫か?」と呟くロサを無視して周りを見回した。
「ココは、俺の庭園だぞ」
『ロサの?』
いつの間にか外に出ていたことに気づいた私は、目の前に広がる庭園が視界に入った。