甘い瞳に囚われて。
指差したのは、優しい感じのピンクと白の大きな花びらで…一本だけでも華やかさという存在感がある花。
「それは、クロイムって言う花だ」
しゃがむ私と同じようにロサもしゃがみこみ説明してくれた。
「魔界ではクロイムを薔薇と一緒に花束にして愛する者へ送ると…永遠に人生を共にすることができるといったジンクスが古くから言われてるんだぜ」
永遠に人生を共にする…
『ロマンチックだねー…』
「まぁ、お前も貰えるかもな?」
ゆっくりと立ち上がり、近くにあったベンチにドカ!っと腰を下ろすロサは何故かニヤニヤとして私に言った。
『キモッ』
そんなニヤついたロサに言葉を投げつけるが…
投げつけられた本人は首を傾げて…、
「"きもっ"って何だ?」
若者なら誰しも使っている言葉を理解していないロサに私は言葉を失ったが、自分が今…、異世界にいることを思い出した。