甘い瞳に囚われて。
「なんで俺だけ"王子"なんだよ」
ブスッとしている王子は怒っていると言うより…、拗ねているように見えてきた。
そんな王子に私は「ふふっ」と笑ってしまった。
「…何、笑ってんの?」
笑われたことに気に触ったのかギロリ、と私を見つめる瞳が鋭くなった。
『もしかして…今日、機嫌悪かったのソレ?』
まさかね、と思って聞いてみたら…、
「そうだけど?」
的中してしまった。
『王子は、王子じゃん』
「ロサやルイスには名前で呼んでたじゃないか。俺だけ、よそよそしい感じで気分良くない」
んー…なるほど。
確かに、よそよそしいかな?私は別にそんなつもりなかったけど…
それに王子は次期魔王継承者だよ?いいのか…?
「次から名前で呼べ」
『わかった』
まぁ、王子が直々に言ったんだからいっかっ。
「じゃあ…、今呼んで」
ねだるように甘い声を出す王子に目を見開いた。