~天に背いて~<~天に送る風~第二部>

 それは罪を犯した者の悔恨の涙だった。


「こんなはずじゃ、なかった」


 もうすぐすれば、家に帰れるはずだった。

 あの、暖かい暖炉のそばで、母の特性のおかゆを食べさせてもらいながら、髪の毛の手入れに余念を入れず、のんびりリラックスしていたはずなのだ。

 だが、現実は違う。


 ……甘い想念を捨てろ、アレキサンドラ。
 

 ここはまだ舞台の上。

 戦いは、深い戦いの痕(きずあと)は、罪の跡(あと)はまだ残っている……


「なぜだ。なぜあのとき、戦うことばかり追い求め、宰相殿のことも考えずに彼にとどめを刺そうなどとしたんだ」
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