~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
あまりに殺風景な机の上に、ヒナギクをおいて、わかったのか、と一言。
「やはり、女性が剣など使うものではないね、あとあと後悔するのがつらい」
あれから、なんどかサフィール王子からの伝言等、いくつか受け取ってはいたが、恥ずかしくて目も通せなかった。
だが、今の王子は別人のようだった。一見するとはにかんでいるようにも見えるが、彼もやはり後悔の苦しみに耐えているのであろう。
その微笑みは悲しげに見えた。
「どうした、親友(とも)よ」
あまりにも優しい声で尋ねられたので、顔を上げられなかった。アレキサンドラは生まれて初めてと言って良いほど、奪った命の重みに耐えようとした。そしてそれができなかった分、滂沱(ぼうだ)と泣いた。