~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
「ボクは、ひとを苦しめる者なら排斥しても良いものと思っていた。そう望んでしまうのは傲慢だった。赦すべきだった!」
このような強烈な罪の意識を感じたのはこれまでで初めてだった。
「命までを奪うべきではなかった!」
「そうか、君はそう思うんだな」
厳しい顔つきで王子は腕組みをして頷き返した。
コツコツ、と、小さな部屋を歩き回りながら、
「マグヌスが……」
と、たった今彼女が観てきたようなことを言う。
困っているし、支障が出る分、王が働かねばならない。それは共同執政者としてだけではなく、この国の問題全てを丸投げにされたのと同然。