~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
「返しといてくれるつもりなんだ? 優しいー」
地獄へ来て久々に彼女が笑った。
『んなもん、自分でやれェ!』
と言うと、クリスチーネは大事なベルをバシ! と、アレキサンドラに押しつけた。
「おやおや。仲間割れかい?」
と、生来ののんきさを発揮する王子。
『そもそも仲間じゃねーし! 俺がガマガエルの口の中で寝てたら勝手につかみだして恩を売った気でいるんだろーが、そーはいかねえ』
サフィールがくすり、と笑い、
「よーしよし、良い子だなあ、クリスチーネは」
ほとんど無意識に、サフィールは彼女の頭をなでなでしたりする。