~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
『俺は馬じゃねーつーの!』
「馬より役に立ってから言おうよ、そーゆーこと」
ちなみにガマガエルじゃなくてウシガエルな、と、クリスチーネをつかみだしたサフィール自身が決着をつけてしまった。
あははあっ、と地獄のドまんなかで笑い声が響いて、異質の物質に満たされた空間がゆがむ。
亡者達、とくに地獄の種族は笑い声を苦手とする。
失策だった。
人間を食らう者もいれば、魂だけを狙う者もいる。
彼らにとって人間など所詮、餌としか思えない。
思う暇すらない。
ただ、妄執に取り憑かれたように喰らい尽くすのみ。
その人間が、である。
さあ、食べよう。
というときになって。