~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
第十五章 リリアの祈り
リリアはキッとしてウロボロスの体内を覗いた。
(生きている。このわたくしと同じように)
リリアの結んだ唇はぶるぶると震え、涙さえこらえきれないようだった。
(生きている。わたくしの娘は地獄へ至っても希望を失わない。わたくしが忘れない!)
(いいえ、忘れさせない。このわたくしがここで! 祈りを捧げている)
(だれも、だれもいなかった。わたくしの時には)
『なぜだ。なぜ呼びかけることができないのだ。たった一言さえも』
『王子、今はそのようなことにお心を乱されている場合ではございません!』
(そう、励ますのよ。おまえは唯一の希望。わたしの、そして未来の!)