夏の空は蒼く輝く

帰り道


委員会が終わった頃には
もう外は赤くなっていた

「リョウもツバサくんも
 帰っちゃったね。」

「もう日が落ちてきてるもんなー。
 ハナちゃんって通学は電車?」

「うん。」

「じゃあもう暗くなるし
 家まで送っていくよ。」

そんな事を男の子に言われたのは
初めてだった

「でも、コウ君二中なら
 私が降りる駅より先だよ?
 悪いからいいよ。」

「大丈夫。
 それに暗くなってきたし
 女の子一人でなんて
 帰らせられないよ。」

「いや、でも・・キャッ!」

コウ君は断ろうとした私の手を握り
そのまま玄関へと引っ張って行く

「こういう時は
 素直に男に甘えなさい。」

ちょっとした命令口調に
私はまたドキッとした
繋がれた手から
ドンドン熱くなっていくのが
わかる

ふと見上げると
ちょっとだけ横顔が見えた

それは私が知らなかった
【男】の顔だった
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