…だって好きだから
<修一>


とうとう着いてしまった春香の家


何処をどう通ってきたのかさえ解らない


「はぁー……吐きそう」


それほど緊張していた


いつも見慣れていたはずの景色なのに何故か今日は初めて見るような気がする


"落ち着け"ともう一度心の中で言ってみる


「ふぅー…行くか」


何時までも此処に居る訳にもいかない


ゆっくりと玄関へと足を進め深呼吸すると少し躊躇い気味にインターホンを押した


ピンポーン


少しして「はーい」
と愛しい君の声が聞こえるとガチャッとドアが開いた


「…修ちゃんおはよっ」


無意識か?上目遣いは反則だろっ…可愛すぎる


やっぱ離れるなんて無理だよな…


───…
──…


俺の車の助手席で頬を赤く染め嬉しそうに笑う君がたまらなく愛しかった
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