ブリーフ エタニティ


「ずるいのはそっちだよ、いきなり逃げ出すし…追いついたらそんなかわいいこと言い出すなんてさ。
それに、お前に泣かれるのに弱いの覚えてなかった?ほっとけないじゃん」


次の瞬間ぐっと手首を掴まれたと思ったら、彼の腕の中にいた。
久しぶりに感じた彼の体温と匂いに胸が高鳴る。


「ごめん。無責任なのはわかってるし、若菜にこんなこと言いたくなかったんだけど…
明日の朝のフライトで東京を出なきゃなんだ。
ここでの最後の思い出に一緒にいてくれない?」


こんな状態でそんなことを言われたら、断るわけないのはバレバレなんだろう。やっぱりずるいのは恵司のほうだと思った。
即答して軽い女と思われるのも癪なので、少し話題をそらす。


「最後の思い出って…しばらくこっちには来ないの?ていうか転勤先ってどこか聞いてなかった」


「海外だよ、台湾。
いつこっちにもどってくるのか、そのあとの転勤先が東京になるかもわからないんだよね」


なるほど…下手したら本当にこれが最後ってわけか。

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