ブリーフ エタニティ


暗がりの中で、彼の素肌と息使いを感じていた。

窓から差し込む光が自分たちを照らしていたけど、
彼の表情を見るのが何故か怖くて、ずっと目を瞑っていた。

何で自分のものじゃないくせに、無責任に優しく触れるんだろう。
大切に傷つける なんて矛盾してるけど、そんな言葉がぴったりな気がした。


「…若菜、俺のこと怖い?」


胸元に顔をうずめながら、彼がそんなことを呟いてきた。


「え?」

突拍子も無いことを言われても思わず目を開けてしまう。


「やっと見てくれた」


そんな事を言った直後に子供のような笑顔を向けてくるんだから、どうしたらいいのかわからなくなる。


「せっかくの2人の時間なんだから、ちゃんと俺のこと見てて」


ときめくという感情をしばらく忘れていた私には少し刺激の強すぎる台詞だ。
目を逸らしたら照れているのが伝わってしまうから、負けじと彼の瞳を覗き込んだ。

…嘘。彼との時間をちゃんと焼き付けようと、必死に彼のことを見つめた。


「恵司のこと、怖く無いよ。
無責任だけど、今でもやっぱり好き」


後悔はしたく無いから、素直に胸の内を伝えた。
今この胸がこれだけ高鳴ってるんだから、この言葉は嘘じゃ無い。
何かを求めてこんなことを言ってるわけじゃないことは、彼も重々承知だろう。

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