ブリーフ エタニティ
「…ごめん、正直今すぐには決めかねる。
だっていつ日本に帰るかわからないんでしょ?
先が見えないまま恵司のこと待てる自信、いまはない。
けど、どうしよう。やっぱりあなたのこと好き」
自分の頭の中の思いもぐるぐるまわる。
間も無くくる彼の出発がタイムリミットなら、変に思わせぶりなことを言うべきではないと思うけど、熱を取り戻した彼への気持ちは伝えずにいられなかった。
結果どっちつかずの回答をして彼を困らせることになってる事実にも嫌気がさした。
「若菜はさ、俺と別れてから他にいい人がいたりした?」
「え…うーん、いなかったかなあ」
ここ一年半のルーズな生活は口にはしなかったけど、好きになれた人がいなかったことは即答できた。
「ならいいじゃん。変に後先考えて振られるくらいなら、無責任に受け入れられて後々違うと思われて振られた方が俺も納得するよ。
この展開に身を任せてって理由でもいいから、一緒にいて」
呆れるほどにまっすぐで呆れるほどに強引だな、この人は…
思わず声を出して笑ってしまった。
「ばかじゃないの。ほんとその勢いは相変わらずね。そんなこと言われたら、断る理由が出てこなくなっちゃった」
自分でも何を言ってるのかよくわからないけど、今はこの強引さに身を任せたい気分だった。
ただ寂しいだけなのか、昔の思い出に浸ってるだけなのかわからないけど。
「ね、俺といると若菜もわがままになれるでしょ」
彼と目があってはっとした。
そうか、私はこの人の事も、この人と一緒にいるときの自分の事も好きだったんだ。
「恵司にはかなわないな」
笑いを含んでキスをした。
先ほどの切なさを含んだキスとは違って、果てしない幸せを感じた。
「…もう一回しよ」
耳元で直球に言われてまた吹き出す。
「ムードも何もなくて笑えるけど、いいよ」
その日2度目の絶頂に達した後、心満たされた私たちは一緒に眠りについた。